あふれる、想い
色褪せた欠けた生活

欠けた生活

―ayuka―

蓮がいなくなっても時間は流れる


今日から新学期


行きたくない…


だけど…明日香が迎えに来る


蓮がいなくなって

ご飯もあまり食べれなくなった


制服が少しブカブカになった


玄関を出たらもう明日香は待ってた


「おはよ」


「…はよ
矢野君は?」


「たまには2人で行こうよ?」


そんなに気を遣わなくていいのに…

同じ日に付き合い始めた矢野君と明日香


2人を見ると
きっと羨ましくなっちゃうだろうな


「愛結…痩せたね
ご飯ちゃんと食べてるの?」


「昨日も言ってたじゃん」


明日香は毎日のように来てくれた

いつも1~2時間ぐらいだけど
それでも嬉しかった

きっと気を遣ってそのぐらいの時間なんだ

私が矢野君の事を聞かないように…


「本当心配だよ
ちゃんとご飯食べてよ?」


「食べてるって~」


本当は何食べても美味しくないんだ





教室に入った

隣の席は蓮のまま


今年度は席替えがない


だから隣はずっと蓮の席


蓮がいない蓮の席



学校のあちこちに蓮がいる


また泣きそうになった


そう思った瞬間

もう涙は頬を伝わってた


「…愛結?」


「ごめん」


明日香に一言だけ謝った後

私と蓮の思い出の秘密の部屋


空き教室に走り出した


ここにも蓮がいる


「うぅ…蓮…れ…ん…」

< 123 / 290 >

この作品をシェア

pagetop