あふれる、想い

―shou―

毎日、岡野の隣で笑う辻を見て
岡野に嫉妬してた


でも、辻には笑って欲しくて
友達の枠からはみ出さないようにしてた



なのに…岡野は
アメリカに行ってしまった


毎日、辛そうにして
何となく笑顔を浮かべてる


周りに合わせて笑顔を作ってる


あんなに嫉妬してた


岡野の横で笑ってる辻


もう一度あんな風に笑って欲しい



だけど…岡野じゃなきゃダメなんだ


…っ…くっそー

悔しすぎる


何か出来ないか…


俺にも辻にしてやれる事がないのか


岡野の代わりでもいい


辻に笑って欲しいんだ


俺は弁当を食い終わって
話を合わせてる辻の腕を引っ張って
無理矢理、椅子から立ち上がらせた


「えっ?…えぇ?か…みじょう?!」


驚く辻と大橋と山口


「ちょっと上條
愛結をどこに連れてくのよ~」


大橋の声なんて無視だ


俺はそのまま中庭に連れて行った



俺は知ってる


屋上は辻と岡野が昼を過ごす場所


たぶんあまり来た事がないのは
この中庭だけだ


「ちょっと…何なの?」


辻が抵抗しまくってる

だけど、俺はもう…離さない



例え俺を見なくても
岡野の代わりでもいい


俺が辛い時…支えになるから…


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