あふれる、想い
俺は辻を抱きしめた


俺の腕の中でもがいて離れようと
暴れ続ける辻


「離して…離してよ」


そんなに簡単に離れる訳がない


「辛いなら…我慢しないで泣いちまえ
ここなら俺しかいないから…
俺が受け止めてやるから…何も考えずに泣けよ」



辻の抵抗が弱まった


「…っ…ヒック…うぅ…うっ…」


「声を押し殺さなくていいから」


辻の切ない気持ちが伝わってきて
俺は背中を擦り続けた



「…うわぁああん…うう…」


辻は嗚咽を漏らしながら泣き続けた


どれだけこの小さい身体で我慢し続けたんだ


隠れてずっと泣いてたんだろうな


岡野…なんでアメリカに行ったんだよ


悲しませるなって言っただろうが…


泣かせたら…いつでも貰うって言っただろ


何やってんだよ


岡野の馬鹿野郎が~!!!


俺は心の中で叫んだ


辻はずーっとそのまま泣き続けた


俺のシャツは胸元がビショビショだ

でも…そんなの気にしねーよ


少しでも辻が楽になれるなら
俺は何だってしてやる

何だって出来る

< 127 / 290 >

この作品をシェア

pagetop