あふれる、想い

俺は小さく揺れる肩を抱きしめ続けた


「なぁ辻?
辛いなら…いつでも俺を頼れよ」


俯いたまま、辻は首を左右に振った


「もっと俺を利用しろよ」


辻の心から岡野が消えないなんて

認めたくないけどわかってる


それでも…俺は辻の支えになりたい


「色々な事考えなくていいから…
ただ辛い時に泣けばいいんだよ」


俺は優しく辻に話しかけた


「…ヒック…ありがとう」


でも、きっと辻は頼って来ない


周りの気持ちばっか考える奴だから…


それでも、泣きたい時は俺が傍にいるからな


だから、我慢しなくていい


俺はそういう気持ちを込めて
もう一度きつく抱きしめた後

辻を腕から離した


「すっげー顔」


「ひっど~」


やっぱ辻は笑ってるのが1番だ


なぁ?
少しはすっきりしたか?


俺は睨みながら笑ってる辻の頭を
ポンポンっと撫で叩いた


「上條…ありがとう」


俺はもう一度頭を撫で叩いた


泣き続けて恥ずかしくなったのか
はにかんで辻がもう一度笑った


もっと頼って甘えればいいのにな…

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