あふれる、想い
―ayuka―
上條の胸でありえないぐらい
泣き続けたあの日
それ以来
上條は何かと気にかけてくれる
その優しさで心が温かくなる反面
すごく申し訳なく思う
優しくして貰っても
その気持ちに応えられないから…
でも…寂しくて
気づかない振りをした
話す事も昨日のテレビの事だとか
そういう何でもないような話
昼休み
菜々達とお弁当を食べて
教室に戻ろうとして
声をかけられた
「ちょっとついて来てくれるかな?」
連れて行かれたのは校舎裏
何を言われるか…もうわかる
田端さんを先頭に4人
「あんたさ~
大して可愛くもないくせに
岡野君がいなくなったら
速攻で上條かよ!!」
肩を押されて
校舎の壁に頭を思いっきりぶつけた
…っ…痛い
「上條とはただの友達だし」
「うっせーよ
口答えすんじゃねー」
田端さんの周りにいた子に髪を掴まれて
身体を押さえつけられる
「何で上條もこんな子が良いんだろうね」
「調子にのってんじゃね?」
パーンっ
左頬に痛みと熱がはしる
何で…殴られなきゃいけないの?
私は殴った子を睨んだ
「何その反抗的な目!!
超生意気なんだよ!!
上條には私のが合ってるし!」
この子、上條が好きなんだ
「こんな事しても上條はあなたを選ばないよ」
「うっせーよ」
その子の手が大きく振りかぶった
また殴られる
思わず目を瞑った