あふれる、想い
―syou―


帰り一緒に帰ろうって言い忘れて
辻の教室に行ったらいなくて
俺は探しまくった


校舎裏

数人の女子に囲まれてる辻


身体を押さえつけられて
髪を持ち上げられてる


…許せね~

俺は身体中から怒りがこみ上げてくるのを感じる


辻に手を挙げてるのは…

高橋だ



あいつ俺が振ったのを根にもってたんだな



田端は確か岡野に振られたって
一時期、噂になってたな



ごちゃごちゃうっせーんだよ


俺が辻を好きなんだ



おまえらにとやかく言わせね~


俺はブチ切れた



「それから田端
岡野に振られた腹いせを辻にぶつけんな」


「別にそういう訳じゃ」


「そういう事だろっ
辻愛結花に手を出したら
男でも女でも許さねーから!!
わかったかっ」


この場で殴り倒してやりてー

けど…それをしたら
確実に辻は俺から完全に離れていく


それだけは…ダメだ


俺は女がいなくなってから
辻の頬を優しく手を添えた


赤くなってる…


本当許せない



なぁ、辻?

難しい事考えなくて良いから…


ただ俺の傍でいれば良いんだよ


俺を利用して良いからさ



辻から岡野が消えなくても
周りがごちゃごちゃ言っても
俺といれば…それだけでいいんだ


何も考えるな


「俺達は仲の良い友達
難しい事色々考えなくていいんだ
友達なんだからごく普通の事なんだよ」

友達だなんて思えないし思いたくもない

だけど繋いでおく方法がこれしかわかんないんだ


辻が微笑んで頷いてくれて
俺は少し安心した

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