あふれる、想い
「何か食べよっか?」
辻がようやく話をしてくれて
俺は何だか嬉しくなった
「辻は何が食べたい?」
「たこ天が食べたいっ
ってかやっといつもの上條になったね」
はっ?
もしかして…俺が話せなくなって
辻も気を遣ってたのか?
辻はすぐ周りに気を遣うもんな
「そっか~?
俺はいつも通りだし♪
じゃったこ天食うか?」
「うん、食う~」
子供みたいに喜んでる辻
いつもそういう笑顔でいさせてやりたいな
辻がたこ天、俺は隣のイカ焼を買った
美味そうに食ってる
「美味いか?」
「うん」
嬉しそうな答える辻の手を
そのまま引っ張って
一口食った
「あぁ~ひどっ!!
返して」
「まぢ、うめ~」
「信じらんなーい」
頬を膨らませてる
でも、そんな辻も可愛いって思うんだ
去年同じクラスになった時の事を思い出す
辻が岡野と付き合う前は
こんな感じだったのにな…
胸が少し痛くなった
「そんなに怒るなって
たこ焼き奢ってやるから」
「ヤッタ」
さっきまで膨らませてた頬を
嬉しそうな笑顔に変えた
コロコロ変わる表情
俺達は1つのたこ焼きを2人で食べた
「よく食べるな~」
たこ焼きの後、たい焼きを食べて
りんご飴を食べてる
この小さい体のどこに入ってんだろうな
「上條だって食べてるじゃん」
呆れながらも同じ物を食べてる俺
「だな」
2人で顔を見合わせて笑った
かなり楽しい
この時間がずっと続けば良いのにな…