あふれる、想い
でも、楽しい時間を過ごす為には
辻に隣にいなきゃ過ごせない

俺はさり気無く人気が少ない方に歩いた


でも…


「ねぇどこ行くの?」


バレバレだよな

あっ…ラッキー


「自販機、ほら」

俺は指差した


人気がない裏入り口にある
1つだけの自販機

俺達はそこでお茶を買った


「色々食べて喉かわいてたから
良かった~」


何も気づいてない辻


俺は途端にドキドキし始めた


言わなきゃ…



でも…言うのが怖い



また…ごめんって言われたら?


何より辻の切なげな悲しそうな顔を見たくない


言うのやめようか…


だけど…伝えたいんだ


俺のこの気持ちを…



「イヴに言った事覚えてるか?」


「…うん」

辻が俯いてしまった

どんな顔してるんだ?

また困らせてる…よな



「俺は辻が岡野と付き合っても
ずっと好きだった
辻が岡野の事好きでも
その気持ちは変わらない
辛い時は俺が支えてやりたい」


俺は辻だけをまっすぐ見つめた

辻はようやく顔を上げた

何かを言いたそうな…苦しそうな顔


俺はそのまま辻の瞳を見つめた


「…あのね…色々噂があるけど
私と蓮は別れてないの」


「はっ?」


驚きが声に出た


「アメリカから戻ったら会う約束はしてるけど
……連絡とか取り合ってないの」


「それって付き合ってるって言えるのか?」


辻は俺から視線を外した


「…待ってるって約束したの」



ズキッ


岡野がいなくなっても
俺の入る隙なんて最初からなかったんじゃねーのか?


俺は…思い上がってただけなのか…
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