あふれる、想い
―shou―
春が来てまたクラス替え
俺は今年こそ愛結花と
同じクラスになれますように
そう思って学校に向かった
あっ…またかよっ
先にどうでもいい慶吾の名前を見つけた
ずっと同じクラスだし…
女子は…
…………ない
まぢかよ?
愛結花は…また隣のクラスだし…
「おはよっ」
その声にドキッとした
愛おしい柔らかい声
「おっおう」
声が裏返った
春休みだって2人で会ったり
いつものメンバー5人で会ってたのに…
「あっ…翔とクラス離れちゃったね」
俺を見上げてる
その顔をこっちに向けるな
すっげー抱きしめたくなる
「すっげー残念だな」
俺は平静を装って答えるけど
愛結花はすぐに掲示板に目を向けて
笑顔を浮かべ始めた
「あっ、でも明日香も菜々も
麻紀ちゃんも同じクラスだ
あ~矢野君も同じで明日香が羨ましい」
ちっ…矢野もかよ
あいつは岡野に繋がってる
正直かなり嫌だ
でも…原田と愛結花は親友だしな…
「仲良しが勢ぞろいで良かったな」
「あっ、翔も村上君と一緒じゃん」
嬉しそうに言ってる
「慶吾なんてどうでもいい
愛結と同じクラスになりたかった」
そう言った瞬間、背中に痛みが走った
「おまえな~
親友に向かってなんかとか言うか?」
「あっわりーな」
笑って誤魔化すけど慶吾は呆れてた
「クラス変わっても仲良くしようね?」
可愛らしげに笑う愛結花
「このバカは放っておいて
愛結ちゃん今年も宜しくね~」
あっ…慶吾に抜かれた
っくそ
「愛結は俺の!!!」
「取らねーし、翔は子供かっ」
3人で笑いながら教室に向かった
今日から3年
受験生の始まりだな