あふれる、想い
授業が終わって、愛結花を迎えに行って
帰ろう、そう思って
帰る用意をしてたら
慶吾が真っ青な顔で近づいて来た
「おい、ちょっと来い」
俺は慶吾に腕を引っ張られて
教室からかなり離れた場所まで連れて来られた
裏門が見える廊下
「裏門にいるの…
あれ?ユミさんじゃね?」
赤い車にもたれて立ってる人は
…間違いなくユミさんだ
教室がある所から裏門は見えない
「おい、翔かなりヤバくね?」
俺は慶吾に返事するのも忘れて
愛結花の元に走った
俺の姿を見て、笑顔を向ける愛結花
胸が痛んだ
「今日ちょっと用事が出来たから
先に帰って?」
愛結花は裏門を使わないから
たぶんバレない
というより知られたくない
「そうなの?
残念だな~
明日は遅刻しないでね?」
「おう
本当ごめんな?」
俺は愛結花を騙してる
心がどんどん痛む
俺は愛結花にもう一度謝ってから
裏門に走った
何しに来たんだろう
不安が押し寄せる
「ユミさん?」
「あっ…翔君?」
「どうしたんですか?」
俺は相当焦った
「翔君、さっき相当慌ててて
携帯忘れたでしょ?
羽菜に電話してもデートで会えないっていうから
学校聞いて届けに来たの
ないと困るでしょ?」
俺…ユミさんの家に携帯忘れたのか?
愛結花から電話かかってきて
…その辺に置いたまま…だったよな…
あぁもう俺って何やってんだよ
「わざわざすいません」
「正門だと彼女にバレたらやばいと思って」
「すみません
ありがとうございます」
俺は携帯を受け取った
その瞬間…見えてしまった