あふれる、想い
「今なら翔の苦しみや辛さが
すごくよくわかる
本当に…ごめんなさい
謝ってすむことじゃないけど…」
翔の腕にすっぽり収まったまま
翔の顔を見つめた
「…それでお相子って事に出来ないか?」
お相子?
そんな簡単には…いかないよね?
「・・・・・・・・・」
何も答えられない
「ムシが良い事言ってるのもわかってる
俺が辛い思いした分
愛結が辛い思いしたなら…
それでお互い様だよな?
失った信用はこれから取り戻すから…
不安になっても
もう絶対こんな事しない
もう一度…もう一度だけ
チャンスが欲しい」
……翔の手を掴んでも…いいのかな?
でも…
「…翔を苦しめるだけだと思うから」
「っ…それは俺が決める事で
愛結が決める事じゃねーよ」
……っ…
翔も蓮も選べない
だから…両方の手を握った
でも…どちらの手も手離さなきゃいけない
そう気づいた
なのに…この手を掴める?