あふれる、想い
―ayuka―
手を離さなきゃいけない
そう思えば思う程
この手を離したくない
そう思う自分がいて
気持ちは揺らぎっぱなしで
その揺らぎに…負けた
これから翔だけを見つめよう
今、翔の手を取るという事は
そういう事だから…
私はそっと目を閉じて頷いた
「何があっても離さない」
翔の優しい声が聞こえた後
優しいキスをした
嬉しそうに微笑む翔
でも…私は…
蓮…ごめんなさい
私はもう…
翔を悲しませてはいけない
翔の手を取るという事は
そういう事だから…
蓮を思い出にしなきゃいけない
何かを得るには
何かを手離さなきゃいけない
そういう事…なんだよね
翔に送って貰って
家に帰ってすぐに部屋に入った
部屋に入って溢れる涙
「…おかしいな
幸せなはずなのに…涙が止まらない」
蓮への罪悪感なのか
それとも翔への罪悪感なのか
涙の意味がわからないまま
嗚咽を漏らしながら泣き続けた