あふれる、想い

―ayuka―

ひとしきり泣いた後
電話が鳴り始めた


あっ…明日香

あのまま走り出したんだっけ


「…はい」

泣いていた事がわからないように
感情を押し込めた


《愛結?!
今どこよ??》


「ごめーん
家に戻ってる」


《今から行くから》


「えっ、ちょっ」


ツーツー



はっ?!

相変わらずの明日香だよ


でも…心配してるんだよね


明日香はすぐにやって来た


バンッ!!!


「帰ってるなら帰ってるって
連絡の1つぐらい入れなさいよね」


「ごめんね…」


当たり前だけど…怒ってる


2人で座った


「でっ、やっぱ浮気だったの?」


「…うん」


「それでどうしたの?」


「…許した」


「はぁ?」


うわぁぁぁ、ますます怒り出したよ


「愛結は…いいの?」


「良いも何も…私だって蓮の事があるから
何も…文句言えないよ」


「あっ…ごめんね」


明日香が俯いた


「あ~気にしないで!!」


明日香は私の声を聞いて顔を上げた


「…今から言う事よく聞いて」


明日香が真剣な顔をしたから
私も姿勢を正した


「こんな事言ったら愛結に
嫌われるかもしれないけど…」


何だろう…

すごくザワザワするよ
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