あふれる、想い

―ayuka―


夏休みが始まって

いつもの5人で海に行ったり

翔と2人で花火を見に行ったり

明日香と買い物に行ったりした



翔だけを見つめる


私の心は翔でいっぱいになってる


翔が向けてくれる愛情


それをすごく感じて

私も愛情を翔に向ける



だけど…この日は…


机からそっと箱を取り出し
中身を手に持った



今日だけは



何も予定を入れないようにした





蓮から貰ったネックレス


つける事はもう出来ないけど…


握り締めたまま
電車に飛び乗った



今日は蓮がアメリカに行ってしまった日




試験が終わって向かった向日葵畑


今年も沢山の向日葵が太陽に向かって

大輪の花を…愛情を向けていた



「蓮…1年しか経ってないのに…」


本当にごめんなさい


でもね…蓮は私にとって

今でも太陽だよ


私は向日葵じゃなくなったけど…


蓮の愛情も私に向いてないかもしれないけど…


間違いなく蓮は今でも太陽だよ



蓮の隣には誰かいますか?

蓮の心には誰がいますか?



誰かいれば…私の心は少し軽くなる


すごく卑怯な気持ちなのに

誰かいるって考えたら切ないんだ

心が…痛い


勝手だよね


私は翔を選んだのに…


私は…もう…


何も出来ないし

出来る資格もないけど


アメリカで頑張ってね


心の中で応援してる



向日葵畑を後にして
海に向かった


揺れる波


ここで蓮と追いかけっこしたっけ


ずっと掴まえてて…



自分から言ったくせに

その手を自分から離した



砂浜にしゃがみ込んで
溢れる涙をそのままにして
沈む夕日を眺めた


オレンジ色に染まる海


ネックレスを握り締めて
もう一度泣いた


想い出は心を揺さぶる



だけど…間違いなく
永遠を感じた私と蓮がいたんだ



離れていても2人の愛が永遠だと…






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