あふれる、想い
学校が始まっても
翔と図書館で勉強してた
バンッ
静かな図書館に大きな音が響いて
みんながドアに集中した
目に涙を溜めた明日香
キョロキョロと探してる
たぶん私を探してる
そう思った
「翔ごめんね」
「あぁ早く行ってやれよ」
翔が微笑んでくれるから
両手を合わせて明日香の方に向かった
明日香は私に気づいて涙を溢れさせた
無言のままで…
「明日香どうした?」
「愛結~」
私は明日香の手を取って
久々に屋上に向かった
「何があったの?」
「岳志が…ウワァァァン」
そのまま嗚咽を漏らしながら
泣き始めたから優しく背中を擦った
いつも明日香がしてくれるように…
明日香と矢野君は大きな喧嘩もしないし
いつも強気な明日香が
こんな風に泣くのを初めて見た
何があったのかな…
少しして明日香は口を開いた
「矢野君が浮気?!?!
それはないでしょ??」
先生に呼ばれて教室に戻ったら
矢野君と女の子が抱き合ってたらしい
「だって…だって…」
「何か…理由があるんじゃないかな」
「理由があっても普通は
他の子抱きしめないよ」
「………」
何も言えない
私もそうだと思うから…
バンッ
すごい勢いで屋上が開いた
「明日香…やっと見つけた…ハァハァ」
息切れしながらも焦ってる矢野君
逃げようとした明日香を抱きしめてるけど
明日香はその腕の中でもがいてた
「誤解だって!!!」
「何が誤解なのよ~
何も聞きたくない」
「聞けよ」
「嫌っ」
「聞けって言ってんだろっ」
いつもの穏やかな矢野君からは
想像出来ない強い口調
「告られて断ったら急に抱きつかれただけ」
私はその言葉を聞いてから
屋上を後にして図書室に戻った