あふれる、想い

―ayuka―


やった!!!!


嬉しくて、嬉しくて

真っ先に連絡した



「翔?!」

『愛結花?どうだった??』

「うん、受かった!!!
受かってたよ~、嬉しい」

『良かったな』

「翔は?」

『俺も受かってた!!
今から俺の家来れる?』

「行く~」


急いで用意して家を出た


嬉しくて不安になってた気持ちを

忘れそうになったぐらい…


少し遅れたバレンタイン


あの日から翔は何も言わない


でも…わかるんだ


何かを隠してるって…


別れたいのかな


聞きたくなくて、普段どおりにしか出来ない


無理して笑顔を向ける事しか出来ない


ちっとも成長出来てない

嫌な事から逃げる癖…


翔の家に着いて
翔の部屋に案内された


「愛結~良かったな」


そうやって笑いながら私の頭を
ワシャワシャとくしゃくしゃにしながら
笑ってる翔を見たら
少し安心した


「もう!!
でも翔も良かったね」


「おう…まぁな」

何で…そんなに切なそうに笑うの?


2人で座ったと同時に翔に渡された


「えっ……どういう事?」


「前に担任に呼ばれて…
1年の時に行けたら良いなって思ってたから…」


他県の大学のパンフレットと受験票


「何で?!
何で言ってくれなかったの??」


自分でも眉間に皺が寄ったのがわかる


「愛結に受験前に悩みを増やさせたくなかった」


「なら、受験後に…」


言いかけて口を塞いだ


言わせなかったのは私だった


チョコを食べた日

翔はこの事を言おうとしたんだ



でも…私が言わせなかった



別れ話かと思ってたから…


「ごめんな」


首を左右に振るしか出来なかった


「…受かった…んだよね?」


伝えてくれたって事は
そういう事だよね?


静かに頷いた翔


わかってたけど…心が締め付けられた



「少し遠いけど…大丈夫だよね?」

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