あふれる、想い

もうこの校舎で学ぶ事はない


ここで


翔と同じクラスになる事も


蓮と同じクラスになる事も



一緒に過ごす時間もない





明日香や菜々や麻紀ちゃんにも
支えられてきた


大好きな友達と過ごす時間もない





私は涙が溢れてきた


その涙を拭わず

ゆっくりと瞼をまた閉じた





3年間…ありがとう


ここで過ごした時間


全てが宝物





キィ―――バタン



屋上の扉が開く音がした


先生かな?



でも…もう少しだけ

この思い出に浸りたくて

何も言われないから瞼を開かなかった



先生じゃないのかな…



ふわっと優しく温かい手で

後ろから目隠しをされた



この手は…この香りは…
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