あふれる、想い
一度も忘れた事がない香り
でも…
ここにいるはずがない
それでも…名前を呼ばずにいられなかった
「…蓮」
手がゆっくり離れた
私は逸る気持ちを抑えて振り返った
口元を両手で押さえて涙をただただ流した
「ただいま」
待ち焦がれた笑顔があった
ずっと聞きたかった声
「…おかえりなさい」
「まさか気づかれるとは思わなかったな」
嬉しそうに笑う蓮
少し大人っぽくなった?
でも…笑顔は変わらない
待ち望んだ蓮がいる
だけど…
心は素直に喜べない
蓮は私の横に座った