あふれる、想い

再会


―ren―



「聞かないから」



俺は愛結花だけを真っ直ぐ見つめて

力を込めて否定した




「愛結花はもう俺の事嫌い?」


不安に思いながら聞くと

愛結花は首を左右に振った



「なら」



「でも、もう無理なの」



俺の声を遮って

強く…だけど苦しそうに愛結花が声をだした




「俺だって…愛結花が上條と付き合ったの知って
ホームシックにもなって
…心が揺らいだ事がないとは言いきれない
それでも…俺は愛結花が好きで
他の誰も好きになれなくて…それは今も変わらない」


愛結花が上條と付き合う

その可能性はいつもあった


わかってた


だけど…岳志から聞いた時

思った以上にショックを受けた



ホームシックになってたのも重なって

同じように日本から留学してた子と

関係を求められた時

俺は愛結花の泣き顔が浮かんで

それ以上、どうしても進む気にならなかったんだ




それ程、愛結花への気持ちが大きい

そう再認識させられただけ



愛結花じゃないと駄目なんだ


俺は…絶対手離さない


そう決めたんだ



「愛結花は上條と付き合ってる時
俺への気持ちは全くなかった?」


頼む…あったって言ってくれ


俯いたまま、愛結花は目を閉じた


なかったのか?

言いにくくて言わないのか?

…それとも‥‥


「じゃあ俺を忘れた時あった?」


俺は微かな望みを口にした


愛結花はようやく顔を上げた


「忘れた事なんてない」


「それだけで俺は十分だ」



愛結花を真剣に見つめた


愛結花も俺を見つめてくれる



俺が寂しい思いをさせたんだ

上條の所にいっていたとしても仕方ない

今は…過去より
今からの事が大切なんだ


俺の傍に…俺の隣にだけにいて欲しいから…


俺は愛結花がいないと駄目なんだ


離れて強く思った





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