あふれる、想い


日本を離れた時
もう終わってたのかもな


岳志が送ってくれた愛結花からの手紙


あれも…愛結花の気遣いだったのか…


それでも何度も読み返して支えられたんだ




俺はもう絶対離さない


そう思ってたけど無意味だった




これからの…今からが大事だ



でも…全て杞憂だったんだな




愛結花の中では…




俺は過去の男




好きだったのは俺1人




愛結花がいないと駄目なのも俺1人




愛結花は俺の事









必要としてない







何の為に日本に戻ってきたんだろう



一緒に行こうって約束してた大学



俺は…内緒で受験して受かったのに…



もしかしたら、そんな約束を覚えてたのは

俺だけだったんだろうな




日本に帰れば

愛結花との未来が待ってる




不安もそんな事を思えば

どこかに吹っ飛んで

期待だけが心に広がったんだ




本当俺っておめでたいな



どんだけ馬鹿なんだよ



でも…愛結花を想うだけで

心が温かくなって




アメリカでも頑張れたんだ




切なさと苦しさと

後ろを振り返りたい


そんな欲望を心に無理矢理押し込めて


微かに震える手に力を入れて


俺はドアノブに手をかけた




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