あふれる、想い
―ayuka―


夕飯を食べて
ママと明日香の話が盛り上がって
お風呂に入った後

今日はベッドじゃなく
ベッドの下に布団を2枚敷いて
明日香と眠る事にした


騒ぐだけ騒いで
静かになって
ウトウトしかけた時
明日香の声が聞こえた


「……愛結…寝た?」


「…ん?…起きてるよ??」


「…岡野の事いいの?」


私が明日香の方に身体を向けると
明日香は眉間に皺を寄せて私を見てた


その顔に胸が痛くなった


明日香はいつも私の事を考えてくれてる

だから…その眼が見れなかった


私は天井に目線を向けた


「いいんだよ
私は1人になった方が良い
翔と付き合った時
蓮の事をずっと翔は気にしてた
蓮の元に戻れば、同じ気持ちを蓮がする
それに…翔をまた傷つける」



蓮の隣に誰かいるなんて嫌


私に向けた笑顔を誰かに向けるのも嫌



でも…フラフラ揺れ動いた気持ちの代償


いつかはそれに慣れなきゃいけない


私といると


苦しみ


悲しみ


切なさ


そういうマイナスしか感じさせてあげられない




私1人が優しさを貰って

幸せに浸ってても

幸せにはしてあげられない



幸せにしてあげたいけど

出来ないから


………1人でいるって決めたんだ


もう揺らがない


決めたんだから…


「…愛結」


「1人になってもっとしっかりしなきゃね」


「岡野の事…好きじゃないの?」


「…好きじゃないよ」





「本当に?」


蓮が好き


「…本当だよ」


でも…無理なんだよ



「嘘つき!!
本当なら私の目を見て言いなよ」


明日香の方に顔を向けると
私から気持ちを読み取りそうな
真剣な瞳が見えた


私の瞳だけを見て

全てを読み透かしそうな…


「本当なら
岡野なんて好きじゃない
そう言ってみなよ」


……っ

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