あふれる、想い


「…………好き…じゃ…ない」


言い切った途端

明日香から目を逸らした


それ以上見ていられなかった


「愛結の意気地なし
好きな気持ちから
嫌な事から逃げてるだけじゃない」


明日香の言葉が心につき刺さった




わかってた


誰かを傷つけたくない


これは本当の気持ち


だけど


傷つけた分だけ

罪悪感が残る


だから…逃げた



「もう…どうでもいい」


明日香が息を呑む声が聞こえる



誰かを好きになるのも


誰かに好かれるのも


誰かを傷つくのも


誰かを傷つけるのも



…私にはもう…出来ない


したくない



怖いんだ…何もかもが…




私は心に硬く蓋をして鍵を閉めた


意気地なしな私


だからこそ…



いつまでも・・・

翔の傷ついた顔が
忘れられない


自惚れかもしれない


だけど…翔はきっと私がまだ好き


本当は別れる事だって納得してない


でも、私の気持ちを考えてくれたんだ


だから…私は1人になる


それ以外、何も考えたくない


私は目を瞑り
無理矢理、自分を眠りの世界に引きずりこんだ


何もかも…手離すように…

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