あふれる、想い

―shou―

卒業式の後

担任と進路の話をして
1年の時の教室に向かった


ここで俺の

愛結花への気持ちは始まった


隣の席の愛結花



目を閉じれば浮かんでくる


楽しかった日々



辛い気持ちを隠して

俺に協力してくれたよな


いつも自分の気持ちを押し込めて

自分の事より周りを考える



俺はずっと欲しいって気持ちで

突っ走ってきた



自分がそうしたいから…


それだけの為に…



でも…愛結花は優しいから

誰かが困ってれば

躊躇なく手を差し伸べる奴だから…


俺は最後に手を離した



ずーっと小さい手を

俺が繋いで包んでいたかった


愛結花と付き合えたのは1年ぐらい


全てが幸せだったとは言えない


それでも…間違いなく

幸せを感じた俺がいた


愛結花がいなくなった今

俺はもう誰も愛せない


3日後には…この街からも離れる


いつか…思い出になんか出来るのか


出来ねーだろ…


これ以上ここにいるのが切なくて

教室を出た瞬間

遠くに私服の人物を見た



そいつは俺に全く気づいてなかった


だけど…


間違いなく


岡野だった



アメリカから帰って来たのか…


愛結花はあいつの元に戻るんだな


俺は心の中に渦巻く
黒いドロドロしたものを吐き出すように
一呼吸…ため息を吐いて
学校を後にした


2人で寄り添い歩く姿を見たくない

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