あふれる、想い
「…翔?
離して…」


俺はその声に手を離した


歩き続けて
いつの間にか公園についていた


俺の所為だよな



「俺の所為で…ごめんな」


「ちがっ!!違うの!!
私の問題なの…」


「何が?」


「私が誰も幸せに出来ないから…」


俺はため息をついてベンチに座った

隣に愛結花に座るよう促したら
静かに座った

人1人分の距離


いつも俺達の間にあった距離


「愛結は俺が与える気持ちを
幸せだと感じなかったか?」


首を左右に振ってる


「ちゃんと言えよ」


「幸せを感じた
いっぱい幸せを貰った」


お互いを見つめ合う


「俺も幸せをいっぱい貰ったよ
好きになる気持ち
好きになって貰った気持ち
全部、愛結から貰った」


俺は優しく微笑んで
愛結花の頭を撫でた


「好きなら…岡野の所いけよ?」


本当は行かせたくない

行くな…


行くな…


「もう誰も傷つけたくない」


「愛結に傷つけられるなら
岡野も本望なんじゃね?
傷つけても傷つられても
幸せを感じる時間はある

俺にはあったよ

だから…愛結もそれを大事にしろよ」



岡野になんか愛結花を渡したくない


だけど…愛結花の切ない顔を見ると…

俺ってどこまでお人好しなんだ


でも…憎めないんだよな


それだけ愛結花に惚れてる


もう…誰も好きになりたくねーな


俺は自分の感情を押し殺した



「岡野の所に戻れ
俺の為にも…」


愛結花は目を見開いた


「幸せになって欲しいんだよ」


「…うん」



俺は愛結花の小さい返事を聞いて

その場を離れた



それ以上そこにいると

涙が出そうだった



< 254 / 290 >

この作品をシェア

pagetop