あふれる、想い
過ぎゆく時の中で

月日

―ayuka―


卒業して月日が経ち

私は大学生活を満喫していた







…はずだった






なのに…




目の前にはニコやかに笑う蓮





卒業して数日後

あと数日で大学の入学式


そんな日に
蓮から電話がかかってきた



新しく携帯を買ったと…



『一度はただ愛結花を見守っていこう
そう思ったけど
やっぱ無理
俺は愛結花が好きだから
愛結花が嫌がっても傍にいる
他の男なんて近寄らさない
それで、いつかまた
愛結花を俺の彼女にする』


すっごい強気だった


明日香が何か言ったんだろうな

ピンッときた


でも、蓮は宣言するだけして
電話を切った





翔には見送りに来るなと言われた


お互いもう前を向いて歩こうって…


《元気でな
いつも見守ってる
何かあったらいつでも連絡して来いよ
辛い日は夜空を見上げてみ?
俺が月の光をそそいでやる
また会おうな》


最後に翔がくれたメール


もしまた会えるなら
お互い会いたいね



優しさが伝わって
ずっと泣き続けた



いい加減、私も前に進まなきゃ


そう思ってるのに

私の前には蓮


その隣には矢野君


私の隣には明日香


矢野君と明日香が私を見ながら
ニヤニヤ笑ってる




「なぁ、そろそろ
ネックレスつける気になんないか?」



「まだ…無理」



「いいじゃん
つけるだけ付ければさ」



「そうそう
物っていうのは使ってあげないと…」



「うーるーさーい」


私はそう呟くと
立ち上がってトレーを持とうとした



その腕を明日香に引っ張られて
バランスを崩した私はもう一度椅子に座った


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