あふれる、想い
「あんた誰にうるさいって言ってんの?
まさか私じゃないでしょうね?」
「ちっ…違うよ」
うぅ…明日香が怖い
「そうだよね~
愛結花の幸せを願ってる
大親友の明日香様に
うるさいなんて言わないわよね~」
自分で『様』つけてるし
笑顔が‥・・怖いです
「えぇじゃあ俺の事?
まぢへこむ」
そんなに落ち込まないでよ
「…落ち込まないでよ」
「って事は俺か?」
矢野君が笑って受け入れてくれた
私は安堵のため息をついて
トレーを持ってもう一度立ち上がった
後ろからついてくる足音
これも毎日の事
チラッと振り返ると
明日香と矢野君はもうとっくに2人の世界になってた
トレーを返却口に返し食堂から出た
そっと横に並び
私の手を握る蓮
本当にそっと優しく握っている
「中庭で話そう?」
「んー」
「良いから行くぞ」
これもほぼ交わされる会話
蓮はいつも傍にいて
小まめに連絡やメールをくれる
付き合ってるんじゃないかって錯覚するぐらい
でも…私は
まだ誰かの隣にいる
その勇気が出せない
高校時代の事は
自分でも驚く程、思い出になってる
それぐらい大学生活は忙しかった
新鮮だった
でも…隣に蓮がいるのは変わらない