あふれる、想い

まだ頬を膨らませてる


そんなに合コン行きたかったのかよ?!



「はぁあ
せっかく愛結花が好きなカフェで
新作ケーキが出たって聞いたから
今日行こうかと思ってたのにな
そんなんじゃ無理だな」


原田が昨日、岳志に強請ってた


愛結花が途端にパーっと明るい顔をした


単純なんだよな


俺は自然と口角を上げた


「でも、愛結花は怒ってるし
合コン行きたいみたいだから
無理だなぁ
ご馳走したかったのに…
残念だな」


ちょっとぐらい

意地悪を言っても言いよな




「そっ…そんな事ないよ
合コン苦手だし…
…ねっ?」


上目遣いで見んな


その顔に俺は弱いんだよな…


「ふーん…
じゃあ機嫌直す?」


「直す直す!!!」


そんなにケーキ食いたいのかよ


「ぷっあははは」


俺が笑い出すと

愛結花は俺の胸をポカポカと
弱い力で殴ってきた


本当に可愛い奴だな


俺は愛結花の頭を撫でた


途端に大人しくなって
俯いて頬を赤くする



こういう愛結花を見ると
嫌われてない

そう思えるんだけど…


何で駄目なんだろうな


俺は愛結花と

彼氏

彼女

ちゃんとなりたい



形に拘る必要はないのかもしれないけど

確かな関係を築きたいんだ



遠く離れて

あやふやな不安定なまま繋ぎ止めてたから…


だから…

安心したいし

安心して欲しいんだ





この後、カフェに行くと

愛結花は満足そうに

幸せそうに

ケーキを頬張ってた


そんな愛結花を見ると

俺も自然と笑顔になるし

幸せを感じるんだ



早く…俺の胸に戻って来いよ



俺はいつでも両手を広げているからな
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