あふれる、想い
辿り着く先
―ren―
俺は車で愛結花を迎えに行った
電話で呼び出すとすぐに出てきた愛結花
白いワンピースですっげー可愛い
俺は運転席から降りて
助手席のドアを開けた
「どうぞ」
「ありがと」
照れくさそうに笑って愛結花は助手席に乗り込んだ
一瞬、俺の頬に風と共に触れる愛結花の髪
愛結花の香りが鼻を擽る
俺は運転席に回った
「ねぇ、どこ行くの?」
「ん~良い所」
どこに行くかは決めてる
でも、言わない
お楽しみだ
車中は大学の話や
テレビ、音楽の取り止めのない話をし
俺は目的地に向かった
「愛結花、目瞑って」
「えぇ?」
「良いから」
俺がそう言うと愛結花は目を瞑った
っ…キスしてーな
だけど、我慢だ
俺は目的地の駐車場に車を停めた
「目開けていいよ」
俺がそう言うとゆっくり目を開いた
目を開けた途端
大きく目を見開いた
「うわぁ~!!!」
愛結花は両手を口元に持っていき
喜んでる
連れて来て良かったな
「すっごいキラキラしてる~」
「まだ入れないけど
春の海もいいだろ?
愛結花は海好きだもんな」
「うん」
愛結花がすっげー嬉しそうで
俺はそれだけで満足だ
俺は愛結花の頭を撫でた
「降りるか?」
「うん」
「じゃあ、ちょっと待っとけな」
不思議そうに小首を傾げてる
運転席から降りて
助手席のドアを開け
左手を差し出した
愛結花は俺の手に右手を乗せて
降りてきた
恥ずかしそうに…
俺は右手でドアを閉めて
キーレスでロックをかけた
手を繋いだまま砂浜に下りた