あふれる、想い
蓮の腕を掴んだ


ようやく蓮が私の顔を見てくれる


蓮の顔は…真剣で
でも、苦しそうで切なかった



「もう私の気持ちは聞いてくれないの?」




蓮は無言で私を見つめてた




「何で自己完結してるの?」





もう愛想がつきた?

もう一緒にいるのが嫌になった?




「…はっ?
終わりたいんだろ?」




「蓮は終わりたいの?」





「質問に質問で返すなよ」




……そうだよね




私まだ自分の気持ち言ってない





「蓮がいつも傍にいてくれて嬉しかった
優しさが居心地良かった」





何も言ってくれない蓮


心臓が張り裂けそう


でも…伝えたい




「でも、蓮がいつかまたいなくなったり
他の誰かにいくんじゃないかって思うと
苦しくて臆病になった

ずっと不安で自分の気持ちと
向き合わず逃げてきた

でも、そんなの無意味だった

どうやっても、どうしても

……蓮が好き」






蓮が私の顔を驚いて
目を見開いたまま見てる


私も蓮だけの瞳を見る





「もう蓮は私といるのに疲れて
嫌になっちゃったかもしれない
私といたくないかもしれない

でも、私は蓮が好きで
蓮と一緒にいたい

いつもいつも言うのが遅くてごめんね

苦しめて傷つけてごめんね

蓮が嫌だって言っても
傍にいたいんだ

だから…傍にいさせて…ください」







涙が溢れてくる


止め処なく溢れる気持ちと一緒に…






「……愛結花はずるいよな」





ズキッ



やっぱり今更なのかな…




遅すぎたのかな…




蓮の腕を掴んでた手を離した




お互い好きでもどうしようもない事もある

好きでも一緒にいられない事もある


わかってた事…





「いつも…いつも…遅せーんだよ」


吐き捨てるように呟いた蓮




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