あふれる、想い

―ayuka―


上條に腕を引っ張られて
屋上に連れて来られて
告られた


少し前の私なら…

迷わず飛び込めた


でも…岡野君の顔が浮かんだんだ


こんな中途半端じゃダメだよ


そう思ってたら

岡野君が屋上に出てきた



いきなり上條の胸ぐらを掴んだから

慌てて引き止めた


切なそうに私を見る岡野君の視線に

申し訳なくて目線を外した


「俺が邪魔なんだよな…」


邪魔って何?


そう思ったのに…

岡野君は屋上から出て行ってしまった


どうしよう…


中途半端に引き止めて傷つけた


「俺は辻が好きだから
彼女になって欲しい
ちゃんと俺の事考えて」


上條はそう言うと屋上から出て行った



こんなに空は青いのに

私の心はどす黒い…


屋上の壁にもたれて
泣き続けた

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