あふれる、想い
―ren―


初めて辻が俺を誘いに来た


何で誘いに来るんだよ


これ以上期待させんな


俺だって…俺だって辛いんだよ



「岡野君、一緒に屋上行こう?」


行きてーよ

行きたいけど…行けれね~





「…上條はいいの?」


何も言わない辻に思わず
冷たく言い放ってしまった


「上條と食べた方がいいんじゃね?」


辻は悲しそうな顔をして涙を流した


「何で…泣くんだよ」



「…ごめんね」



もう泣いてる所を見たくねーんだよ


泣きながら辻は教室を飛び出した



…くっそ~


俺…何やってんだ


ガタンッ



俺はすぐに辻を追いかけた


昼休みだからか廊下には生徒が結構出てきてる


辻はちっこいから、人の合間を素早く通り抜ける


近いのに…遠い

「辻~?」

声をかけるけど、止まる気配がない


あぁ見失った…

本当、俺なにやってんだろう


辻の泣き顔見たくないのに
俺が…泣かせたんだよな

俺は辻を探す事にした

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