あふれる、想い


―ren―


いた…


…またかよ



上條といる辻を見て
胸が痛くなった



上條といるなら
なんで俺を誘ったりするんだよ


なんで泣いたりするんだよ…


諦めるしかねーのかな



「…岡野君」


辻に気づかれた

気づいて欲しくなかった



「泣いてたから…気になって探したんだ
でも…もう大丈夫みたいだな」


ははっ

空笑いしか出来ねーよ

そんな悲しそうな顔すんなよ



辻の優しさが俺を苦しめてるんだ…

知らないだろ?



俺は辻達から背を向けた


諦めたくない

でも…もういい加減、切な過ぎる



男のくせに情けない


けど…それだけ辻が好きだったんだ


辻に好かれたかった

両思いになりたかった


俺を…俺だけを見て欲しかった


叶わなかったな


辻の笑顔を思い出すとキリキリ痛む


本当は上條から奪ってやりてーよ

でも…そんな事をしても意味がない

辻の心は俺にはない

上條に向いてるんだから…



けど…もう少しただ好きでいるだけ

それだけならいいよな?

諦めが悪いってわかってるけど…

気持ち消せれそうにねーや…

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