あふれる、想い
―ren―


本気でもうダメだと思った

辻の気持ちが手に入らない絶望感に
目の前が真っ暗になった


なのに…辻は追いかけてきた

何で追いかけて来るんだよ


追いかけて来てくれて
嬉しいって思うけど
期待してまた落ちるんだ…


辻の声に立ち止まった


腕に温かさが伝わる

辻の小さな手

振り切れば良いのにそこまで出来ない


この気持ちも消せれれば楽なのにな


「鈍感でごめんね
辛い思いさせてごめんね」


やっぱり…目の前が暗くなった



「謝る必要はない」


ごめんなんて聞きたくない

惨めな気持ちになる


これ以上聞きたくないって思うのに
辻は俺の腕を掴んだままなんだ


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