あふれる、想い

―syou―


やばい…寝坊した

慌てて廊下を走ってると
辻が暗そうな顔で教室に入るのが見えた

岡野と喧嘩でもしたのかな?

チャンスだと思った

…でも、辻の辛そうな顔は見たくない


俺は急いでカバンを机に置いて
辻の席に向かった


「辻~おはよ」

「…おはよ」

やっぱ何か元気ない


「ちょっと話しようぜ?」


「ごめん
…今はそんな気分じゃないから」


「ジュース奢ってやるから」


俺は無理矢理、辻の腕を引っ張って
教室から出た


「ちょっと上條離してよ」


「嫌だねっ」

強めの口調で言うと
ひっぱられつつも辻はついて来た


自販機の前


「何飲む?
奢ってやるよ」

「悪いから…いいよ」

「気遣うなよな」

「………」

何も言わないから
俺は勝手にいちごミルクを買った

よく飲んでるから大丈夫だろ

俺は牛乳

寝坊して朝飯食えなかったんだよな

ここじゃゆっくり話せないから
中庭に出てきた

この木陰は結構穴場なんだ

チャイムが鳴る音が聞こえる


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