あふれる、想い
俺が座ると辻も座った

今日は座ってくれて
ちょっとホッとした


昨日から辻は化粧してて
雰囲気が何だか違う


いつもは…
何ていうかこう無邪気な可愛さがあるけど
今はすっげー色気がある可愛さ


「昨日から辻って雰囲気違うな」

「…変でしょ」

変?

「何言ってんだ
すっげー可愛いと思うぞ」

辻は目を見開いて
俺を見つめたまま涙を流し始めた


「ちょっ…どうしたんだよ?」

いきなりすぎて焦る

首を左右に振りながら俯いて
辻は泣き続けてる


俺は辻を抱きしめた


「何があった?
言ってみろ?」

少しでも楽になれるなら…
力になるから…笑ってくれよ


「…ヒック…何でもない…グスン
…は…なして…」


「嫌だ」


「おねが…い
嫌…なの」


…っ…くっそー

俺は仕方なく離れた


やっぱ俺じゃ駄目なのか


俺は空を見上げた

あの雲のように
俺の気持ちも風が運んでくれねーかな


どうして辻なんだろう


何でこんなに辻が好きで
辻じゃなけりゃー駄目なんだろう

俺は意地になってるだけなのか?


でも俺は辻が好きだし
辻の為なら何でもしてやりたいって思う

< 62 / 290 >

この作品をシェア

pagetop