あふれる、想い
チャイムが鳴り響き

次の授業が始まるまでに

そう思って愛結花と教室まで行った



笑顔で話す愛結花を見て

間に合って良かった


本当にそう思った


自分の教室に戻ろう


そう思って廊下に出ると
上條が壁にもたれてた


声をかけられなくてもわかる


俺を待っていたんだと…



「俺は諦めが悪ぃーから
辻の事泣かしたら
いつでも貰うから…」


「愛結花は俺のだ
絶対渡さない」


お互いを微動だにせず睨みあった


やっぱり上條が
すんなり諦めると思ってなかった


ふっと口角をあげ上條は軽く笑った


「俺と辻は今日からまた友達だ
絶対辻を悲しませたり泣かせたりするなよな」



「しねーよ
愛結花を苦しめるなよ」


「ああ」


お互いを見つめ合ったまま
一歩も引かなかった


同じ女に恋をし
愛おしく思う


上條の気持ちは痛いほどわかる

だからこそ
愛結花は渡せない


俺は誰よりも愛結花を想ってる

それは上條にだって負けない

大事にしていきたい

本当に心からそう思うんだ



もしかしたら…

上條への不安は消えない


だからこそ傍で愛結花の笑顔を見ていきたい

ずっと俺を好きで居続けてくれるよう
俺は欲して止まない

< 75 / 290 >

この作品をシェア

pagetop