チャラい×真面目=事件!?
「(この時間も人通りが無い。)」



色平は帰宅する為に、人通りの少ない裏路地を歩いていた。


現在の時刻、午前1時。


良い子はとっくに寝ていて、悪い子は補導されていて、夜に働く大人以外あまりいない。


都会の喧騒と住宅地の静寂が極端過ぎる、そんな時間だ。



「(………ん?)」



街灯も少ない暗闇に人影があった。


人がいるだけならまだいいのだが、その人影は違った。



「(フルフェイス………)」



その人影は街灯や月明かりがなければ闇に溶け込んでしまう、全身真っ黒なライダースーツの様な格好。


しかも、フルフェイスときた。

バイクもその人影の近くには見当たらない。



刑事の勘…………でなくても分かる、怪しい人物だ。



「(後付けて、職質決定。)」



周囲を窺いながら身を隠す様に歩く人影に、取り敢えず後を付けることにした。



「(こんな所に階段……)」



人影を追い入り組んだ路地を奥へと進むと、周りに草木が生い茂る階段に辿り着いた。


50ほどある上り階段で、上には横に細長い建物が見える。



人影は階段を上っていた。
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