チャラい×真面目=事件!?
「上郡さん……じゃないね。……まさか私を………っ!!」



いきなり左から黒い影が近付いたと思ったら、何かを振りかぶった。


瞬時に動けない色平は咄嗟に枕を盾にしたが、枕の下側から見えるのは貫通した刃の刃先。



キラリと鈍くも鋭く光るソレに、色平は見覚えがあった。



「っっ……くっ…………」



怪我でまともに力が入らない上に、重力と上下にある相手と自分の態勢の差で、刃先は目の前に迫っている。



「こっ、んの………、フル…フェイス…………、殺さ、れて、た、まるかぁっ!」



「!」



フルフェイスの右脇腹を両足で、蹴り飛ばす。


フルフェイスは右にあるベッドと窓の隙間に倒れ込み、その拍子に電気スタンドが落ち割れた。


一瞬で部屋は暗くなるが、開けっぱなしのドアが功を奏した。

そばにある階段の非常灯の明かりが入り込み、出入口付近だけぼんやり明るい。



色平はその明かりを頼りに、部屋から飛び出した。
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