チャラい×真面目=事件!?
「はぁ…はぁ……はぁ………」



色平は階段を下っていた。


テレビドラマの刑事ものだと、上へ上って屋上で追い詰められる。


という展開があるが、実際はそんな危険なことはしない。


逃げ道のない屋上より、たくさん出入口のある1階に向かう方が安全だ。




なので、色平もそうしているのだが………


怪我した身体に鞭打ち無理矢理動いている色平にとって、階段を下りるだけでもかなり息が上がっている。



その上、フルフェイスを蹴り飛ばした際、右腕を切ってしまって下りてきた階段には血が点々と落ちていた。


身体を支える為に壁についた右手も血に塗れていて、色平の通った経路は追ってくるであろうフルフェイスには丸わかりだ。


しかし、歩みを止める訳にはいかない。


逃げ道が分かっていても、捕まれば殺されてしまう。




フルフェイスがたどたどしく逃げる色平にいまだ追い付いていないのは、走って物音を立てたくない為だろう。



抵抗できるだけの自信が無い色平にとって、不幸中の幸いなのか。
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