甘党オオカミくん
甘党カレシと私。
「ちょっと…待ちなよ」
その言葉と同時にドンッと音をたてて壁につかれた手。
私は壁を背にしてゆっくりと目の前に立つ人物を見上げた。
私を腕と壁に閉じ込めるようにしている人の顔を瞳に捉えて私の顔の筋肉が一気にゆるむ。
「とーや」
砂原糖也(サハラ トウヤ)。
甘いものが大好きな私の彼氏だ。
「愛美…が、足りないんだけど」
吐息まじりに言う唇と物欲しそうな視線を向けられて私の鼓動がひとつ跳ねる。
一瞬私が足りないのかと思ってしまうセリフだけど、だまされちゃいけない。
とーやが私のトコに来る理由はそんなものじゃないんだ。
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