甘党オオカミくん
目の前で可愛らしくほほ笑む愛美の言葉に俺は一瞬息をのんだ。
ほ…本当に!?
今、いいって言った?
「…っ、いいのか?」
つい聞き直してしまうと、
「うん、がんばるね!!」
愛美は力強くそう言った。
その瞳はやる気にあふれ、先ほどまでの甘い雰囲気を吹き飛ばす勢いだった。
え…頑張る?
これは…キスのことじゃない気がする…ような…。
俺の思考が一瞬停止したすきに愛美はするりと俺の腕から抜け出した。
「楽しみにしててね!!」
愛美は嬉しそうにそう言ってスカートを翻して去っていった。
「え?」
突然のことに戸惑っているうちに彼女は遠ざかっていき、やがて視界から消えた。