甘党オオカミくん
不良くんと私。
「はい、それでは始めますよ~」
先生の声で授業が始まる。
私の目の前にあるのは、ボウルに泡たて器、粉ふるい、小麦粉、卵、砂糖にバター。
そう、今からマフィンを作るんだ!!
とーやにあげるって約束しちゃったからにはがんばらないとね。
あれからレシピを確認して頭に叩きこんだし、できるはず!!
よし、やるぞ!!
ぐっと作業台の下でこぶしを握りしめていると、
「お、なんだなんだ?やる気だねー」
親友の倉本伊織(クラモト イオリ)が声をかけてきた。
「砂原にあげるの?」
「うん…まぁ…。約束しちゃった…し」
気合いを入れたものの、不安が頭をよぎってしまって声がだんだんと小さくなっていってしまう。
「なぁに?失敗するのが心配なの?」
こくりとうなづくと、伊織は不安を吹っ飛ばすように笑った。