甘党オオカミくん
「大丈夫だって!!みんなで作るんだし、失敗なんて…」
「でも、わたしだよ?」
下からおずおずと見上げると、伊織は「うっ」と言葉をつまらせた。
ハッキリ言って私の料理の腕は壊滅的だ。
レシピを見て作業しているはずなのに、なぜかうまくいかない。
「そ、そうだったね…。でも食べられないものはできない…はず、じゃないかな…?」
失敗しない、とは言い切れないところが伊織のいいところ…だよね…。
「…まぁ、なんだ、失敗してもカレシなら食べてくれるでしょ」
伊織はあさっての方向を向きながらそう口にした。
失敗しても食べてくれる?
とーやに限ってそれはない。
だって甘いものが大好きなんだもん。