甘党オオカミくん
あの会話でわかったのは、とーやは甘いものが好きだということ。
これは付き合った今でも変わることがない。
それはいいんだ。
問題は…
ーお菓子作りを失敗しちゃいけないってこと。
とーやがお願いしてきたからって、どーして約束しちゃったかなぁ、私。
自分の腕が壊滅的なのになんでできると思っちゃったんだろう。
はぁ、とため息をついても目の前の現実からは逃れることはできない。
「とりあえずできるとこまでやってみようよ、ね?」
はい、と伊織が泡立て器を差し出してきた。
…そうだよね。
何もしないうちからあきらめるのはまだ早いよね。
失敗すると決まったわけじゃないし!!
「紫苑愛実、やります!!」
伊織から泡立て器を受けとって私は作業を開始した。