甘党オオカミくん

昼休みがはじまったばかりだというのに、彼はすでにお弁当を食べ終えたらしく、その手はお弁当箱を包むハンカチを結ぶために忙しく動いていた。


マフィンを紙袋にしまってその前を通りすぎようとしたとき、彼の横にある箱に気づいた。


ケーキを入れるような白い紙製の箱。


そこから甘い匂いがする気がして、私はピタリと立ち止まった。



あ、あれは…!!



箱の隙間からからわずかにのぞくものに私は釘付けになった。


まず見えたのは艶のあるイチゴ。

その下にはサクサクのタルト生地。

そして降り注がれる冷たい視線…。


…ん?冷たい…視線?


ハッとして顔を上げると、呆れたようにこちらを見下ろす仮名くんと目があった。

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