甘党オオカミくん
「甘いものが足りないんだよね?…っと、わわわっ」
私の肩口に顔を埋めるようにしてもたれかかってくるとーやを支える。
とーやは甘いものが切れると甘いものを求めて私のもとにやって来るのだ。
「確かポケットにアメが…って、とーや、そんなに抱きつかれたら取れないよ」
とーやは私をだきしめて、頬をすりつけてくる。
「ん…だって愛美、甘い香りがするし」
耳元で熱っぽくささやかれて私の体温は急上昇。
頭がくらくらして、とーやだけでなく私も倒れてしまいそう。
…って、ダメダメ。
しっかりしなくちゃ。
私はどうにか制服のジャケットのポケットを探り、アメを取り出すと包装を解いてとーやの口にコロンと入れる。
「これで大丈夫?」
「これもいいんだけどさ…」
とーやは言いながら私のあごをつかんで上向かせた。