甘党オオカミくん

「なにその目。信じられないっていいたいのか?」



「ううんっ、そんなことないよっ」



じろりと睨まれたけど、嬉しさが勝った私は満面の笑みを仮名くんに向けた。


仕方ないじゃん。
だって、タルトだよ。

お小遣いなんてそんなにない、しかも成長期の高校生。

ケーキ屋さんでタルトを買うなんてしません!


だって350円のタルトひとつで格安のタコ焼きなら3パック、またはハンバーガー3個、さらにいうなら袋飴2袋!!

飴は頑張れば2、3日もたせられる優れものですっっ!!

…とまあ、それはさておき。


仮名くんの手作りとは意外だったけど、女の子の手作りってわけじゃないことがわかった時点で食べないという選択肢は私の中で消えた。



「ふぅん…で、どうするんだ?いらないのか?」



再度聞いてきた仮名くんに答えるために私は口を開く。



「…た」



ぐうぅぅぅ。


食べたい、と言葉にする前に私のお腹の虫が盛大に鳴いて。


それを聞いた仮名くんは一瞬呆れたような顔をしたあと、おかしそうに吹き出した。

< 25 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop