甘党オオカミくん

「ほら、やるよ」



仮名くんは箱を私に押しつけるように渡してきた。



「えっ、いいの?」



ぱっと顔を上げると、


ぐぅ~きゅるるるん♪


言葉と連動するように再びお腹が鳴る。


そんなに嬉しそうに鳴らないで、私のお腹っ!!



「そんなに腹の虫鳴かせられちゃしょうがないだろ。いいから食べろよ」



仮名くんは仕方なさそうに言いながらフォークを渡してきた。


違うんだよ…いつもお腹を鳴らしてるわけじゃないのよ…

と言ったとしても、今の私には説得力がない。

きっと仮名くんの中で私は「腹減り女」として覚えられたに違いない。

…そう思われても仕方ないけど。


ま、いっか!!
それより今は目の前のタルトに集中しなくちゃねっ♪



「いただきますっ!!」



フォークを手に意気込んでタルトを口に運ぶ。


…!!こ、これはっ…!!


タルトを口にした瞬間、私の中に衝撃が走った。

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