甘党オオカミくん

「それはぜひ!!教えてくださいっ」



私はマフィンを持つ仮名くんの手を両手でがっしり包み込んでまっすぐその瞳を見つめた。


まさかそんなに勢い込んでくるとは思わなかったのか、仮名くんは驚いたように一瞬目を見開いた。



「…必死だな」



それはそうだよ。
マフィン見たらわかるでしょ。

壊滅的にヘタだって。



ーだから。



うまく作るコツがあるならば、ぜひとも教えてもらいたい。


店で売ってるくらいとはいわないから、せめて人並み程度にはうまくなりたいよ。


でもって、自信もってとーやに渡せるくらいに。

必死に目で訴えると、仮名くんは仕方なさそうに笑った。



「わかった、教えてやるよ。まずはだな…」



…それから昼休みが終わるまで、仮名くんは私のマフィンのダメなところと改善点をことこまかに教えてくれたのだった。

私がお昼を食べ逃したことは言うまでもありません…。



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