甘党オオカミくん
「なにしてんの…?」
形のよい唇が問いかける。
「アメを取りたいんだけど…」
「アメ?…なんで?」
「だって…とーや、甘いもの欲しいんでしょ?」
私の言葉を聞いてとーやは一瞬驚いたように目を丸くした。
あれ?
違ったのかな?
首をかしげると、とーやは肩で大きく息をついてからふっと笑った。
「…うん、そう」
ん?あれ?
なんだろう、この表情は…。
なんかさっきと違う気がするのは気のせい…だよね?
まるで獲物を捕らえようとする狼のような鋭い瞳が私を捉える。
「…でも」
とーやは妖艶な笑みを浮かべながら私の頬に指をすべらせ、あごを軽く上向かせた。
「今の俺はアメじゃないものが欲しいんだけど…?」