甘党オオカミくん

「なにしてんの…?」



形のよい唇が問いかける。



「アメを取りたいんだけど…」



「アメ?…なんで?」



「だって…とーや、甘いもの欲しいんでしょ?」



私の言葉を聞いてとーやは一瞬驚いたように目を丸くした。


あれ?
違ったのかな?


首をかしげると、とーやは肩で大きく息をついてからふっと笑った。



「…うん、そう」



ん?あれ?
なんだろう、この表情は…。

なんかさっきと違う気がするのは気のせい…だよね?


まるで獲物を捕らえようとする狼のような鋭い瞳が私を捉える。



「…でも」



とーやは妖艶な笑みを浮かべながら私の頬に指をすべらせ、あごを軽く上向かせた。



「今の俺はアメじゃないものが欲しいんだけど…?」


< 42 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop